研究概要 |
本研究は,平成11年〜13年度に実施した研究を継続発展し,脳外傷患者の認知・コミュニケーション障害の病態を検索すると同時に,本機能を評価する検査として「脳外傷談話機能検査」を開発することを目的としている. 本研究は平成15年10月より開始し,平成16年度にかけて実施することになっており,今回はその中間報告をする. 本年度は下記の点につき,研究活動を行い,結果を得た. 1)脳外傷患者の認知・コミュニケーション機能に関するデータ収集と分析 本研究では,埼玉県川口市立医療センターの救命救急センターおよびリハ科と連携し,脳外傷患者について急性期から社会復帰に至るまで認知・コミュニケーション機能の変化と社会生活上の問題について神経心理学的検査と面接を定期的に実施し,患者の追跡をしている.同時に,脳損傷の病態についてMRI, SPECT画像を集積している. 本年度は,4〜3年間追跡患者12名,2〜3年追跡患者17名,1〜2年追跡患者28名について,神経心理学的検査および面接を実施し,障害の回復パタン,社会生活を送る上で特に問題となる障害の検討を行った.その結果,脳外傷患者が呈する認知・コミュニケーション障害のうち,前頭葉機能および記憶機能の障害が残存する者はそのような障害が軽快した者に比し,社会復帰レベルが低いことが明らかとなった.そこで,このような障害がコミュニケーションにどのような影響を及ぼすかを,次に検討することが重要であると考えられた. 2)「脳外傷談話機能検査」の開発に関する研究 先行研究で作成した本検査試案を脳外傷患者30名および健常者30名に実施し,検査の有用性と問題点を検討した.その結果,検査課題はほぼ妥当であるが,評価方法にいくつかの問題があり,検査の修正が必要であることが明らかとなった.
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