研究概要 |
(1)健常者を対象とした予備的研究 健常者7名を対象.凹面円形コイル(直径140mm)を用い,左短母指外転筋(APB)の至適刺激部位にあたる右運動野に計750回,0.9Hz,安静時運動閾値の80%強度で連続経頭蓋磁気刺激(rTMS)を施行.その前後で電流感覚閾値検査を施行,左示指より感覚閾値を数値化(CPT値)し検出.前後で変化を検討した.2000Hz電気刺激時のCPT値に上昇の傾向がみられた.被検者の手指における自他覚的変化も観察し,対象の2名で変化が認められた. 結論として,rTMSにより手指感覚機能が変化している可能性が見出され,さらなる検討が必要とした.本研究は第34回日本臨床神経生理学会(2004年11月)で報告した. (2)健常者を対象とした追試研究 予備的研究を踏まえ,対象を健常者12名とし追試を行った.前述のプロトコールに加え,sham刺激を行い,CPT値を比較することとした.さらに大脳皮質感覚野の機能変化も同時に検討するため体性感覚誘発電位(SEP)を測定した.本研究においてはrTMS時とsham刺激時のCPT値変化に有意差は見出されなかった.一方,SEPの一部に変化の傾向が認められた. これらの結果から,閾値下低頻度rTMSでは大脳皮質の興奮性に影響を与える一方で,手指末梢の感覚は変化させないと結論した.本研究は第42回日本リハビリテーション医学会学術集会(2005年6月)にて報告予定である. (3)今後の展望 (1)rTMSの刺激条件を変更(刺激頻度,強度,刺激部位等)し健常者で検討する. (2)脳損傷・神経疾患患者を対象とし検討する.
|