研究概要 |
(1)運動野への連続経頭蓋磁気刺激による感覚機能への影響 ・目的:連続経頭蓋磁気刺激(rTMS)で感覚機能に変化が生じるかを明らかにする. ・対象:健常者10名,男5名,女5名.35.8±5.7歳.インフォームドコンセント取得. ・方法:運動野rTMSは左APBを標的とし右側運動野に施行.刺激強度は90%安静時閾値,0.9Hzで500回刺激.刺激の前後で電流感覚閾値(CPT)測定と体性感覚誘発電位(SEP)測定を行い,手指感覚と大脳感覚野皮質成分の興奮性変化が生じるかを検討した.比較のため感覚野とsham刺激も施行.感覚野は運動野手指領域の後方2cmを刺激し,またsham刺激ではコイルを頭皮から3cm離し施行した. ・結果:2kと5Hz CPTに有意な上昇を認めたが,その変化は正常範囲内での変化であった.SEPのP25p-N33p成分にrTMS後の有意な振幅の低下を認めた.感覚野刺激およびsham刺激では有意な変化はなかった.変化のあった2k・5HzCPTとSEPのP25p-N33p成分に相関関係はなかった. ・結論:健常者に運動野rTMSを施行すると手指の感覚に変化が生じる可能性がある. (第42回日本リハビリテーション医学会および第34回日本臨床神経生理学会で報告) (2)運動野への連続経頭蓋磁気刺激による感覚機能への影響-脳損傷患者を対象とした検討- ・目的:運動野rTMSにより脳損傷患者では感覚機能に健常者と異なった変化が生じるかを明らかにする. ・対象:52歳女性.左前頭葉の慢性期外傷性脳損傷患者.インフォームドコンセント取得. ・方法:運動野手指領域にrTMSを行い,前後で2kと5Hz CPTを測定し変化を検討する. ・結果:2kおよび5HzCPTともに著明な低下が認められた.副作用なし.健常者との比較は,対象者が極めて限られるために少なく,現時点では結論に至っていない.
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