視覚障害者の単独歩行を支援する装置に関する研究

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15500390
• 研究機関: 東海大学
• 研究代表者: 曲谷 一成 東海大学, 電子情報学部, 教授 (00181610)
• キーワード: 視覚障害者 / 単独歩行 / GPS / 電子白杖 / 赤外線標識 / 色分けされた誘導ライン / 道案内

研究概要

平成15年度は視覚障害者が屋外を単独歩行する際の支援装置として「GPSを利用した視覚障害者道案内装置」について、また屋内における支援装置として「色分けされた誘導ラインを織別する白杖を用いた視覚障害者用道案内装置」について研究を行った。GPSを利用した支援装置は、利用者が携帯するGPS装置またはGPSが利用できない際に使用する自立測位装置により利用者の位置を確認し、装置の持つ地図データベースを参照して目的地までの道案内をおこなうものである。今年度はGPSと自立測位装置の並列動作を実現し、実際に東海大学湘南キャンパス内で歩行実験を行った。この結果、我々の目的とするGPSが使用できない際の自立測位装置への自動切り替えが達成でき、適切に利用者を道案内することが可能となった。今後は被験者を用いた誘導実験を積み重ね、道案内に用いる音声をどこでどのように出すか、といったヒューマンインタフェースについて研究を行ってゆく予定である。
屋内における白杖を用いた歩行支援装置は、地下街や病院、劇場等の公共施設において視覚障害者の道案内を行うことを目的として開発を行っている。病院等には晴眼者用の案内装置として床に色分けされたラインを引き、例えば赤のラインを辿れば内科の外来に至るというような誘導ラインが利用されていることがある。本研究はこのような晴眼者用の誘導ラインを視覚障害者の道案内にも利用しようというものであり。具体的な動作は出発点から目的地まで引かれた色分けされた誘導ラインの色を指定することにより、白杖の先端部に取り付けられたカラーセンサがこれを検出し、白杖がライン上を横切ると白杖がバイブレータにより振動するというものである。利用者は振動を検出できるように歩いてゆくことにより目的地に到達できる。また誘導路が大きく曲がるような場所においては天井に赤外線標識を取り付け利用者の持つ受信機から音声により道案内を行う。現在までに赤外線標織とその受信機、赤と緑の2色の誘導ラインを織別できる白杖が完成しており、実際に視覚障害者を被験者とした実験で本装置が十分実用になることがかくにんされた。今後は織別できる色数を増やすこと、適切な音声により道案内することを中心に研究を行う予定である。

研究成果

• [文献書誌] K.Magatani, S.Aoki et al.: "The navigation system for the visually impaired by using DGPS"2003 IFMBE CDROM Proceedings. Vol. 4. (2003)
• [文献書誌] K.Magatani, Y.Kaneko et al.: "Development of the navigation system for the visually impaired"CDROM Proceedings of 25^<th> Annual International Conference of the IEEE EMB. 03CH37439C. 1640-1643 (2003)
• [文献書誌] K.Magatani, Y.Kaneko et al.: "Development of the navigation system for the visually impaired"CDROM Proceedings of APBME. 03EX711C. (2003)
• [文献書誌] 曲谷, 添田, 青木, 他: "DGPSを利用した視覚障害者誘導装置"第42回日本エム・イー学会大会論文集. 第41巻. 491 (2003)
• [文献書誌] 曲谷, 原田, 金子, 他: "白杖を用いた視覚障害者道案内システム"ロボティクス・メカトロエクス講演会'03講演論文集(CDROM). 03-4. (2003)
• [文献書誌] 曲谷, 平原, 原田, 他: "白杖を用いた視覚障害者誘導システムに関する研究"策四回システムインテグレーション部門学術講演会予稿集(CDROM). 03SY0014. 139-140 (2003)