平成17年度は視覚障害者が屋外を単独歩行する際の支援装置として「GPSを利用した視覚障害者道案内装置」について、また屋内における支援装置として「色分けされた誘導ラインを識別する白杖を用いた視覚障害者道案内装置」について引き続き研究を行った。GPSを利用した支援装置は、利用者が携帯するGPS装置またはGPSが利用できない際に使用する自立測位装置により利用者の位置を確認し、装置の持つ地図データベースを参照して目的地までの道案内を行うものである。今年度は、近年広く普及してきたGPSを備えた携帯電話や携帯端末の利用も視野に入れ、GPSによる視覚障害者の誘導に重点を置き研究を行った。すなわちGPS以外に複雑な装置を持たず歩行する場合の適切な誘導の仕方について、どの地点でどのような道案内をするべきかについて健常者を被験者とした実験を行い、ほぼ適切に道案内できるシステムを完成させた。今後はこれをGPSを持つ携帯端末等に実装して行く予定である。 屋内における白杖を用いた歩行支援装置は、地下街や病院、劇場等の公共施設において視覚障害者の道案内を行うことを目的として開発を行っている。本研究は視覚障害者の利用する白杖の先端に取り付けられたカラーセンサにより色分けされた誘導ラインを検出し、所定の色のラインを白杖が横切ると白杖に取り付けられたバイブレータが振動し、そのことを利用者に知らせるというものである。昨年度までに8色程度の検出を可能とする手法を開発したが、今年度は誘導経路の中で位置案内が必要な部分において音声で道案内を行うためICタグを利用する方法について研究を行った。まず利用者が白杖の使用に際し邪魔にならないような形状で、白杖の先端に取り付けられるICタグ用のアンテナを開発した。白杖とICタグとの通信を良好に行うための送受信装置についても開発を行った。また、利用者が誘導ライン上を進んでいる方向を検出するための機構について基礎研究を行った。
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