研究概要 |
機能的磁気共鳴撮像法(functional MRI)は脳機能の局在を非侵襲的にとらえることが可能であり,空間および時間的分解能に優れており,脳機能画像解析法の第一義方法として広く利用されることになった。本研究の第一の目的は健常成人の四肢随意運動に伴う脳機能の局在を明確にすることである。健常成人ボランティア5名に対して,四肢の各関節の随意運動に対する脳内賦活領域を,米国GE社製1.5テスラfMRIにて撮像し,正常随意運動に対する脳内賦活野の3次元的マッピングを行った。運動野賦活のための動作は,計測したい各動作の大きさに応じて1秒から3秒程度に1回のリズムで10回行い,同時間休息するという一連の賦活と休息の作業を繰り返して行った。同一の運動と休止を繰り返し,cross correlation thresholding法にて有意の信号上昇部分を原画像および3次元画像に重ね合わせてコンピュータを用いて表示し,プリンタで出力した。 その結果,(1)10秒間の測定中の前半の数秒間で,大脳運動野の信号強度が順次増加することが観察された。また補足運動野の活性性は不規則で,より複雑な負荷で顕著に認められた。(2)指の対立運動による運動賦活を行った後で,指を動かさずにその動作を想像するだけで,実際の運動による賦活部位に一致して信号の増加が,程度は低いが観察することができた。
|