研究課題
基盤研究(C)
近年、聴覚障害者の高等教育機関への進学率の増加や、学会などへの参加者数も増えてきている。また、このことを背景に聴覚障害者が社会参加する機会が多くなってきている。この様な場面で必ず必要なものがコミュニケーション支援である。現在、可能な支援は手話通訳、手書き要約筆記、PC要約筆記、ノートテイク等で直接支援者が現場に行って支援を行っている。また、支援者の居住地域・時間的制約・専門性等多くの条件が混在し、全ての支援要請に対応することは現状では不可能である。そこで我々のグループは遠隔からの手話通訳支援システムを構築し、他大学で学ぶ聴覚障害学生への授業支援を行ってきた。専門性の高い大学の授業では一般の手話通訳と異なり、通訳者への情報提示方法など多くの配慮が必要であった。また、同システムを使って、聴覚に障害を持つ研究者が参加する学会の発表会等にも同様な情報支援を行ってきた。この支援システムで提供できる情報は、手話通訳、リアルタイム字幕、PC要約筆記があり、これらの中から支援を受ける聴覚障害者が自分の得意なメディアを選んで情報を取得できるように配慮されている。本研究は当初この遠隔地手話通訳システムでの手話通訳者への情報提示装置として考案されたが、既存の手書き要約筆記への応用が可能と認識し拡張を図った。市販されている手書き入力装置の評価を経て、プロトタイプを製作し評価実験を行った。評価実験に協力を頂いた手書き要約筆記者の方々から貴重な意見を頂戴した。本研究では、運用システムの構築には至らなかったが、プロトタイプの評価から重要な基礎データを得た。これらのデータが今後の研究資料として活用されることを期待する。
すべて 2005
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信学技報 24
ページ: 53-56
Technical report of IEICE. WIT2004-82