研究概要 |
昨年度までの研究では,3軸アームの先端に取り付けたペンデバイスを入力装置として,触覚ディスプレイ及び音響を出力とするシステムを製作し評価した.これは従来の同様な触覚ディスプレイシステムと比戟して,視覚障害者自らが触覚ディスプレイ面に対して位置入力が可能であることが大きく優れている点であった.今年度は,入力システムをアーム式から超音波式へ改良した.これは超音波と赤外線をペン先から発信し,筐体に設置した受信機により位置計測を行なうものであり,アーム式と比較して動きの自由度が飛躍的に向上した.更にこれまでの触覚ディスプレイの表示部分を倍の面積に拡張したうえ,2台同じ構成のデバイスを作成し,ネットワーク経由で接続することで,触覚ディスプレイに直接書き込める視覚障害者用の通信システムを構築した.アプリケーションとしては,片方の描いた図形をそのまま相手側に表示するホワイトボードソフトや,これまで盲学校などの評価で好評であったピンポンゲームを対戦型にしたものなどを製作した.触覚を利用した視覚障害者用の対戦型エンターテインメントシステムは他には見られないものであると考えられ、独自の視点でのシステム開発といえるだろう. 研究発表は,2003年の秋に東京の青少年オリンピックセンターにて開催されたヒューマンインタフェースシンポジウム2003の対話発表に出展し,参加者の投票によって決まる優秀プレゼンテーション賞を受賞することができた.
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