本研究は、「子どものアイデンティティ」を、「自然の中で」「異年齢の仲間」と「思いっきり楽しく遊ぶ」諸実践の分析を通じて、特に「身体論」の視角から考察することを目的としている。 すなわち、自然遊びにおける子どもの「身体アイデンティティ」に関する問題、とりわけ、(a)子どもたちが、異年齢集団でおこなう自然遊びにおいて、「他者」を練り込む過程とその身体アイデンティティの問題、および、(b)笑顔の研究では明らかにすることができなかった「フロー状態にある子どもの身体アイデンティティ」の問題が本研究の重要な課題である。 本年度は、その予備的段階として、以下のような調査研究を行った。 1 T小学校での自然遊び(予備的実験的性格) ・「カリキュラムの一環」としての自然遊び(週2回) ・PTA主催「ふれあいの集い」での自然遊び ・内容:「校庭の自然と遊ぼう」「みんなで遊ぼう」など 2 「異年齢集団」による子どもの自然遊びに関する施設及び活動の実態調査 (対象年齢:小学校1年〜中学校3年生) ・茨城県生涯学習課「自然体験フィールド」 ・茨城県立青少年自然体験施設 ・各市町村で行われている自然遊び(ex. H市「40泊の体験活動」) 3 第1回「自然遊びの宿泊体験学習」(予備的実験的性格) ・場所:茨城大学大子合宿研修所 ・対象:小学校4年生〜中学校2年生、約40名程度 ・内容:アイスブレイク、登山、川遊び、『光るどろだんごづくり』など ・手法:カメラ、ビデオ、録音、感想日記、アンケート、インタビューなど 4 子どもの自然遊び(スキー)の実態調査 ・場所:栃木県那須町マウントジーンズ・スキー場 ・内容:スキーにおける子どもの身体に関するレポート(写真、ビデオ、観察など) なお、特に、「3」の研究成果は、「遊戯世界における身体〜「光るどろだんごづくり』を事例に〜」と題して、平成16年4月、「体育学研究」に投稿するために、現在執筆中である。
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