本研究の最終的な目的は、体育における学習意欲を高めるサポートシステムを開発することである。具体的に言えば、体育における学習意欲を高める働きかけに関して、教師および友人がどのようなサポートをすればよいのかについて、実践研究、文献研究、専門家との面接などを中心に検討することである。 平成16年度は、体育における学習意欲を高める「友人の働きかけ」に焦点をおき、小学5年生を対象として、グループ学習を取り入れた実践的な取り組みを行った。体育における学習意欲の診断結果を出発点に、子どもの学習意欲を高める働きかけをねらいとした全16時間の体育授業を展開した。単元名はマット運動であった。単元終了後に再び体育における学習意欲の診断を行ったところ、この実践を通して体育における学習意欲が高まる傾向が認められた。また、マット運動への興味や楽しさも高くなり、授業への魅力を感じた子どもが多く認められた。しかしながら、学習不安においては顕著な変化は認められなかった。また、本実践以外には、、体育教師と積極的に意見交換会を持つとともに、文献研究も継続して行った。 今回の実践では、異質集団によるグループ編成、学習カードの工夫、ビデオによる動機づけ、自己の振り返りなどが、子どもたちの学習意欲へ影響していたのではないかと考察された。今後は、教育現場の先生方と密接に情報交換しながら、学習意欲の喚起サポートについて考えていく予定である。
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