スポーツ場面における運動技能の獲得と視覚的認知方法との相互関係を知ることを目的に、本研究では熟練群、学習群および統制群を設定し、刺激映像(硬式テニスのサーブ、12名分)に対する注視点の動きを分析した。熟練群は大学体育会硬式テニス部のレギュラーおよびコーチで、刺激映像を見てその特徴を述べさせた。学習群および統制群はテニス経験のない大学1年生であった。学習群にはテニスの実技授業(約10回、毎回サーブの時間を必ず入れた)を挟んで2度、統制群には約10週間の間隔をあけて(実技授業を挟まず)2度、刺激映像を見せその特徴を述べさせた。被験者の頭部にはアイ・マーク・レコーダを装着し、刺激映像を見ている際の注視点の動きを記録した。以上のことから被験者はどのようなことに注目し(注視点の移動と停留)、何を分析したか(陳述内容)について分析を進めている。また学習群については、サーブのフォームについての習熟度も判定した。 本研究は補助金が採択されてから研究を開始したこと、および学習群の計測が実技授業の進行(10月〜2月)と関係したことから、現時点では学習群(20名)、および統制群(10名)については、2度目の注視点の記録が終了した段階にある。7名の熟練群については分析が終了したが、熟練群および統制群については、さらに10名程度データを増やす必要がある。
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