研究概要 |
1.現在ドイツで進行中のスポーツ科教育のカリキュラム改革の立場を関連文献により明らかにし、その立場から冷戦期・スポーツ科教育に対する批判点を整理した。 2.上記の批判点を押さえた上で、冷戦期・西ドイツのスポーツ科・学習指導要領作成にかかわった主要人物に当時の社会状況と指導要領作成過程についてインタビューを行うとともに、現在、その指導要領を批判し改訂作業を行っている主要人物にもインタビューを行った。さらにそれに関係する文献資料を収集した。インタビューを行った人物と日程は、以下のとおりである。Klaus Roth(Heidelberg大学,8月22,25日),Peter Tchiene, Helmut Nickel(ドイツスポーツ協会,8月26日),Dietrich Kurz(Bielefeld大学,8月27日),Christa Kleindienst-Cachay(Bielefeld大学,8月27日),Klaus Cachay(Bielefeld大学,8月27日),Jurgen Wieneke-Funke(Hamburg大学,8月28日),Karl Heinrich Bette(Darmstadt大学,8月30日),Ommo Grupe(Tubingen大学,9月1日)。 3.上記の1と2を踏まえ、特に国際競技スポーツを舞台に繰り広げられた東西ドイツ間の競争が冷戦期のスポーツ科教育に与えた影響に焦点を絞って調査した。その結果、スポーツ科教育がスポーツ種目中心主義や技術主義へと傾斜していく様相が明らかになった。そして、冷戦後になってにわかに浮上したドーピング問題が競技スポーツへの不信感を招き、そしてその不信感がそのままスポーツ科教育に向けられていることがわかった。 4.ドーピング問題の浮上→競技スポーツへの不信感→スポーツ科教育への不信感、という道筋を念頭に置いて、冷戦期におけるスポーツ科教育とそれを取り巻く社会について考察した。
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