1.昨年度収集したドイツのスポーツ科教育関係の文献・資料に基づいて、特に冷戦期の西ドイツにおける学校体育の存在意義を批判的に考察した。そして、従来からおこなってきた日本における学校体育の存在意義に関する研究成果と比較することによって、両者の共通点と相違点を明らかにし、「学校体育の存在意義に関する原理的考察」という論文にまとめた。本論文は、日本体育学会誌、「体育学研究」への掲載が受理された。 2.9月にドイツに出張し、現在のドイツ・スポーツ科教育のリーダー数名(ハイデルベルグ大学のRoth教授、ドイツスポーツ協会のNickel氏、ハイデルベルク教育大学のTreutlein教授)に会い、1.でおこなった考察について意見交換をおこなった。さらに昨年度収集できなかった資料(主に学校体育と地域スポーツクラブの連携に関する資料)を収集した。 3.1.の研究成果を特に「近代化の過程と学校体育の存在意義」に焦点を絞ってまとめ、European Committee for Sport History(CESH)の国際学会大会で発表した。発表テーマは"Changes in the Mode of Walking through Modernization in Japan 19^<th> Century"(場所:イタリア・クロトーネ、大会期間:2004年9月23〜26日) 4.9月にドイツで収集した資料を整理・検討することによって、冷戦期の西ドイツにおいて学校体育と地域スポーツクラブが連携することによってスポーツ種目中心主義や技術主義が徹底されていった様相を明らかにした。
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