研究課題
1.平成15年度および16年度に収集した資料に基づいて、冷戦期・西ドイツのスポーツ科教育の成立と展開を「冷戦」という社会構造と関連づけて分析し、以下のことを明らかにした。東西のドイツが対立し、競技スポーツによる代理戦争=メダル獲得競争が盛んに行われたこの時代、競技スポーツ振興が大きな国家事業として位置づけられ、学校体育もその一環として、競技スポーツ振興の下請けを担わされた。政策的に、学校体育は重んじられ、教科名「体育科」が「スポーツ科」へと変更され、大学入学資格アビトゥアの科目に「スポーツ科」が参入することになり、授業時数も週3時間が保証されるなど、教科としての体育の地位はあがるが、その一方で、土着の民族スポーツをも含めた幅広い体育教材が次第に姿を消し、オリンピック種目が学校体育の中心になっていく。そしてそれらの種目の技能習得・記録向上が一番の目標にされ、技能主義的・競争主義的な体育が展開される。その結果、スポーツが不得意な子はどんどん振り落とされ、エリート養成的な体育授業となってしまう。2.冷戦期のスポーツ科教育の特徴である「スポーツ種目中心主義」「技術主義」を相対化するために、今日のドイツにおける新しいスポーツ科教育の試みを調査した。3.上記2の事例としてハイデルベルク大学"Ballschule"を取り上げ、日本体育学会第56回大会体育哲学専門分科会のキーノートレクチャー「Ballschule Heidelberg:スポーツ科学領域における大学と地域の連携プロジェクトモデル」とシンポジウム「スポーツにおける大学と地域の連携-その意味を問う-」を企画・実施した。4.本科学研究費補助金による研究成果を研究成果報告書にまとめた。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (5件)
体育学研究 50・4
ページ: 403-413
スポーツ文化論シリーズ(創文企画) 14
ページ: 45-68
子どもと体育 133
ページ: 4-5
教養としての体育原理(大修館書店)
ページ: 33-38
Sport and Cultures, Proceedings of the 9^<th> International Congress of the European Committee for Sport History
ページ: 176-183