本年は、二つの調査を行った。一つは女子体育大生への調査、他は高等学校の校長先生、保健体育科主任、女子体育教師への調査である。前者の概要を述べる。 高校3年生時の1校平均体育教師数は合計6.8人、女子1.9人(SD1.4)、男子4.9人(SD2.5)であった。女子体育教師は最少0人(10.5%)、最多8人、男子体育教師は最少0人、最多19人であった。女子体育教師がいない女子高もあった。約2割の学生が高校時代に女子体育教師の授業を全く受けておらず、男女体育教師に同じ割合で受け持たれたものは約2割であった。女子体育教師担当の一位はダンス(72.6%)で、他と大きな開きがある。戦前の「女子体育教師数の少なさから、女子体育教師は行進遊戯のみを教えねばならない状況」が今日も変わっていない。 戦前の女子体育教師像に対して「大変そう思う」と「まあそう思う」の回答の合計が多い順に1位「身体のことを相談しやすい」、2位「生理の時に話しやすい」、3位「女子らしい柔軟な美しい動きは女子体育教師が指導すべきである」などであった。この調査の結果からみる限り、男女共同参画社会における女子体育教師像は戦前のそれと大きく変わっていない。 高校時代に女子体育教師に授業を受けたことや高校時代に尊敬できる女子体育教師に出会ったことが、女子体育教師の役割形成に対して影響を及ぼしている。女子体育教師数の減少は「女子体育教師の役割がある」との考えも減少させることになることが明らかになった。 男女平等の立場と女子特性論の立場の両方から男女共同参画社会における女子体育教師の役割はあるとされる。体育は身体運動を伴う教科であるから女子の精神や身体そのものに関係するところに女子体育教師の役割はあるとみることができる。
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