研究課題/領域番号 |
15500423
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研究機関 | 大阪電気通信大学 |
研究代表者 |
赤滝 久美 大阪電気通信大学, 医療福祉工学部, 教授 (30280811)
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研究分担者 |
三田 勝己 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (40100169)
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キーワード | 筋音図 / 筋電図 / 解析・評価 / 賦活後増強 / PAP / Mechanomyogram / 筋線維タイプ / 筋線維組成 |
研究概要 |
本研究は筋線維組成を無侵襲に分析する方法の確立を目指すものである。筋組成の分析は、筋力の増大や低下の評価に際し、その生理学的背景を追及する上で重要な情報を提供する。しかしながら、現在、筋組成分析は侵襲的手法が一般であり、計測に伴う被験者の苦痛を避けることはできない。そこで、これの無侵襲分析法を確立することは、スポーツ科学のみならず、筋力に重点をおくリハビリや筋疾患の評価など、臨床現場での画期的な支援提供が期待できる。 本研究では賦活後増強(postactivation potentiation : PAP)を手がかりに筋組成の無侵襲分析を行うこととした。PAPとは最大筋力持続後に電気的に誘発される単収縮力が増大される現象であり、その原因は速筋線維(FT)で顕著に発生するミオシンヘッドのリン酸化であるといわれている。すなわち、PAPはその筋に含まれるFTの割合に応じて高くなり、これにより筋組成の相対的な割合の推定が可能であると考えた。ところがスポーツや臨床現場での応用を考えた場合、全身の種々の筋を対象にその力(単収縮力)を計測することは困難である。また、複数頭で形成される筋において各筋頭の評価をすることも困難である。そこで、本研究では筋力にかわる指標として筋音図(Mecahnomyogram : MMG)の導入を試みた。健常者の下腿三頭筋を対象としたMMG-PAPの評価において、FT優位の腓腹筋では遅筋線維優位のヒラメ筋と比較してPAPが優位に高いことが示された。加えて、単収縮力-PAPよりも二筋間の差はMMG-PAPでより明確に示された。さらに、本研究ではFTの選択的萎縮を伴う筋病患者数名のMMG-PAPを計測し、これとバイオプシー検査で得られたFT萎縮程度との間に相関関係を有することを明らかにした。これらのことから、MMGを用いたPAP評価は筋線維組成を無侵襲に分析する一つの手法として有用であることが示された。
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