1.海外の非営利団体(NPO)における協賛企業を対象としたマーケティング(企業マーケティング)の事例について、有識者ヒアリング調査および二次資料の分析から情報収集を行った。その結果、この課題に対するNPOの営みは、企業をマーケティングの対象として資金的、物的、人的な協賛を得るタイプと、協同的な活動(collaborative activities)のパートナーとして同盟(alliance)を組み、協同して公益的な事業を実施していくタイプに類型化された。また、企業との関係構築のためには、事前の情報収集や戦略策定の重要性、適切なパートナーを選び出す基準づくりの重要性、協定的内容の締結と遵守、関係構築を目的としたプロジェクト実施の有効性などが確認された。 2.NPOと支援企業の関係について、国内のスポーツに関わるNPO(スポーツNPO)およびその協賛企業を対象としたアンケート調査とヒアリング調査を実施した。その結果、スポーツNPOにおける企業マーケティングへの取り組みはいまだ活発でないこと、収入における企業協賛額の構成比が高いスポーツNPOは、企業を母体として設立される場合が多いこと、企業協賛の有効性を高めるためには広報機能の充実が重要であると認識しているが、その機能が不十分であること、などが明らかになった。NPOと企業間の関係構築に対する事前に十分な協議を行うことや協定的内容を締結することは多くなかったが、これには、企業を設立の母体としたNPOが企業協賛を受ける傾向が強いことが影響していた。スポーツNPOの事業特性や組織特性と、企業協賛を受けることとの関係については、データサイズの不足が背景にあるものと考えられるが、一般化できるデータは得られなかった。
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