本研究は異なった濃度の低酸素環境への暴露、異なった濃度での低酸素環境+運動トレーニングが肝臓の8-OHdG、還元型グルタチオン(GSH)に及ぼす影響を明らかにした。厳しい低酸素運動群の肝臓8-OHdGは通常酸素非運動群に比べ有意な減少が認められた。厳しい低酸素運動群の肝臓還元型グルタチオン(GSH)度は通常酸素非運動群に比べ有意な減少が認められた。中等度低酸素運動群、中等度低酸素運動群、厳しい低酸素非運動群間、通常酸素運動及び非運動群に肝臓GSH濃度に有意な差に認められなかった。これらの結果から厳しい低酸素濃度での運動は肝臓のDNA損傷を軽減させることが明らかになった。これは肝臓において、低酸素低酸素環境での運動が誘導する酸化ストレスへの適応の結果と考えられる。 さらに、低酸素および低酸素トレーニングが脳以外臓器・組織におけるノルエピネフリン濃度に及ぼす影響を明らかにした。低酸素運動群と低酸素非運動群の肝臓のノルエピネフリン濃度はNS群に比べ有意に減少した。通常酸素非運動群の心臓のノルエピネフリン濃度は、低酸素運動群及び低酸素非運動群に比べ有意に減少した。HS群のヒフク筋の白筋線維部分のノルエピネフリン濃度はHE及びNS群に比べ有意に高い値を示した。これらの結果から本研究では、低酸素環境と低酸素運動トレーニングは肝臓におけるノルエピネフリン濃度の低下を引き起こしたが、心臓では逆に有意な増大を引き起こした。これらの結果から、長期間にわたる低酸素及び低酸素運動トレーニングはラットの組織によってその応答は異なることが明らかとなった。
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