研究課題/領域番号 |
15500441
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
林 達也 京都大学, 医学研究科, 助手 (00314211)
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研究分担者 |
伏木 亨 京都大学, 農学研究科, 教授 (20135544)
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キーワード | 骨格筋 / 運動 / インスリン感受性 / AMPキナーゼ / 筋収縮 / シグナル伝達 / 糖代謝 / トレーニング |
研究概要 |
本研究の目的は、運動によって活性化を受ける細胞内分子5'AMP-activated protein kinase (AMPK)が、運動によるインスリン感受性亢進に関与するシグナル伝達分子であることを明らかにすることである。具体的には、ラット骨格筋にプラスミド局所注射法によってAMPK活性サブユニット(αサブユニット)あるいはその変異体遺伝子を導入し、後天的に骨格筋AMPK活性を亢進あるいは抑制し、運動によるインスリン感受性亢進がどのように変化を受けるかを検討する。現在のところ、α2活性を選択的に増強させた筋、α1を選択的に増強させた筋、AMPK活性を抑制した筋の作成をFujii Nらの方法(Diabetes 2001;50 suppl 2:A276)に準じ、前脛骨筋にプラスミドを局所注入した後electroporationを行う手法を用いて、目的のαサブユニットの安定した発現が得るよう検討を続けている。また、メトホルミンなどの抗糖尿病薬やAICARなどのAMPK活性化剤をラットに慢性的に投与することによって骨格筋のAMPK活性を変化させて、そのインスリン感受性の変化を検討している。一方、骨格筋においてα1とα2は運動強度依存性に活性化を受けることが知られており、中強度の運動ではα2のみが、高強度の運動ではα1とα2の両方が活性化を受ける。我々はαサブユニットがアイソフォーム別に異なった調節を受けるメカニズムを検討し、α2は細胞内のエネルギー状態の低下に伴って活性化を受けること、α1はエネルギー状態のみならず、細胞内に惹起される酸化ストレスに反応して活性化すること、酸化ストレスによるα1活性化の生理作用として、インスリン非依存性糖輸送活性化に関与している可能性を明らかにした。引き続き、酸化ストレスによるα1の選択的活性化とインスリン感受性との関連を検討している。
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