研究概要 |
本研究では,レジスタンス・トレーニングが代謝に及ぼす影響を骨格筋レベルと全身レベルの両面から検討することを目的としている.平成16年度は,15年度に引き続き,実験動物としてラットを用いて,自らの体重を利用した自発的レジスタント・トレーニングが,骨格筋レベルの代謝特性を特徴づける代謝酵素活性および全身レベルの代謝を特徴づけるサイトカインに及ぼす影響について検討した.さらに,レジスタント・トレーニングに対するヒトの代謝的適応に関する基礎的検討として,一過性のレジスタンス運動が血中サイトカインレベルに及ぼす影響について検討した.ラットのレジスタント・トレーニングは足底筋の乳酸脱水素酵素の比活性を変化させなかったが,クエン酸合成酵素の比活性を有意に高めた.ただし,筋組織全体の活性すなわち総活性で表すと,両酵素活性ともレジスタント・トレーニングによる変化は認められなかった.血中のアディポサイトカインレベルについては,レプチンレベルがレジスタント・トレーニングにより顕著に減少したが,アディポネクチン,レジスチンおよびTNF-αレベルはレジスタント・トレーニングによる影響を受けないことが明らかとなった.さらに,足底筋あるいは副睾丸脂肪組織1g当たりのレプチンおよびTNF-α含量も,レジスタント・トレーニングによる影響を受けなかった.一方,副睾丸脂肪組織全体に含まれる総含量に関しては,レプチンとTNF-αのいずれの場合も,減少が認められた.なお,ヒトの血中レジスチンレベルは,一過性のレジスタンス運動の影響を受けなかった.
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