研究課題/領域番号 |
15500448
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
中屋 豊 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (50136222)
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研究分担者 |
蛯名 洋介 徳島大学, 分子酵素学研究センター, 教授 (00112227)
上田 陽一 産業医科大学, 医学部, 教授 (10232745)
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キーワード | 運動習慣 / モノアミンオキシダーゼ / ノルエピナフリン / セロトニン / マイクロダイアリシス / ラット / オレキシン |
研究概要 |
本年度も、高運動習性ラットの系代をさらに重ねた。特に、本ラットの高い運動習性の原因を検索した。 1)本年度においては、系代は18代まで行った。また、受精卵の保存も行っている。 2)特徴の検討においては、脳の組織およびマイクロダイアライシスによる検討を中心におこなった。in situ hybridizationによる検討では海馬、線条体でのオレキシンの発現の増大がみられた。 3)組織では海馬においてノルエピネフリンの濃度が低く、海馬における組織潅流ではノルエピネフリン、セロトニンの濃度が高値を示し、その代謝産物の濃度の低下がみられた。 4)MAO活性の測定の結果、活性の低下がみられ、このためノルエピネフリンの高値が生じたと考えられた。 5)対照ラットへのMAOAの阻害剤の腹腔内への投与により、走行距離が増加したことより、MAOA活性の低下による、ノルエピネフリンの高値が本ラットの高運動性の原因と考えられた。 6)MAOAのcDNAの遺伝子異常はみられなかった。また、mRNAの発現の低下もみられなかったことより、翻訳あるいは分解の時点における異常が考えられた。 7)以上のように、海馬におけるモノアミンの変化が運動習性を規定していることが示唆された。 8)その他、本ラットは軽症の高血圧を示し、高齢になると心房内の血栓を形成する。高血圧により内皮障害が接着因子の発現など促進しているためと考えられた。血栓形成のモデル動物としても有用であることが示された。
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