研究課題/領域番号 |
15500455
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
石指 宏通 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (50260807)
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研究分担者 |
藤村 吉博 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (80118033)
松本 雅則 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (60316081)
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キーワード | VWF / UL-VWFM / VWF-CPass / 運動負荷 / 水分摂取 |
研究概要 |
フォンビルブランド因子(von Willebrand factor : VWF)は血栓形成において「分子糊」として作用し、運動負荷とともに増加することが認められたが、運動時の如何なる要因によるものかについては不明である。そこで本年度はスポーツ活動時の発汗による脱水状態に着目し、その際の自発的脱水状態の相違がVWF産生ならびに回復過程にどのように影響するのか検討した。VWF抗原量は、練習前値106.0±7.6%に比し、練習直後の160.1±15.0%、一時間後の146.0±14.8%と有意に増加した。さらに、VWF凝集能も、練習前値の116.6±8.1%に比し、練習直後の174.0±11.4%、一時間後の154.3±11.9%と抗原量と同様に有意に増加することが認められた。またVWF凝集能は練習直後からその一時間後に有意に低下した。これに呼応するかたちでVWFを分解する酵素活性(VWF-CPase活性)にも練習終了直後からその後の回復過程で低下する傾向がみられた。これらの結果は、夏季の練習が生体内で血栓を量的質的に形成しやすい方向に傾けていることを示唆している。しかし、血栓形成を質的に変化させるために、練習直後の回復過程で凝集能の高い高分子量のVWFをすみやかに分解する防御機構が作動したものと推察される。 次に、練習直後、一時間後のVWF抗原量、VWF凝集能およびVWF-CPaseと練習時の体重当たりの脱水率、心拍数、運動量、最大酸素摂取量との間には、いずれの場合も有意な相関関係は認められなかった。しかし、一時間後のVWF凝集能と体重当りの脱水率との間には有意な正の相関傾向(p=0.07)がみられたことから、運動時における脱水の程度が軽い者ほど、回復過程におけるVWF凝集能の低下が早期に出現する可能性が示唆された。
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