研究課題/領域番号 |
15500458
|
研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
友田 あき夫 東京医科大学, 医学部, 教授 (10092793)
|
研究分担者 |
阿部 晃久 東京医科大学, 医学部, 助手 (30201289)
下光 輝一 東京医科大学, 医学部, 教授 (90206243)
|
キーワード | 尿中重炭酸イオン / 尿pH / 尿NOx / 局所性運動 / 全身性運動 / 疲労指標 |
研究概要 |
1)強度の異なる動的膝伸展運動試験(=局所性運動)、2)エルゴメーターを用いたペダリング運動負荷試験(=全身性運動)、によって起こる血液中乳酸値の変動と尿中重炭酸イオン濃度、NOx代謝物、pH変動、酸素消費量、呼気中炭酸ガス濃度、心拍数などのパラメーターについて検討を行った。これらの試験をもとに激しい運動が生体に与える影響(=疲労)の指標としての尿中重炭酸イオン濃度と尿pHの変動の測定の有用性を検討した。1)強度の異なる動的膝伸展運動試験では9名の男子バレーボール選手について80%最大反復負荷による膝伸展運動を行い、疲労困憊になるまで(約17秒)続け、150分の休息を行った。これらの期間において尿試料、血液試料を採取し、分析を行った。その結果、80%1RM負荷を受けた被験者の尿中重炭酸イオン濃度は負荷前と比べ、負荷終了後150分で4倍に増加し、尿のpHも1.13倍になった。しかし、尿中NOx濃度の変動はみられなかった。2)エルゴメーターを用いたペダリング運動負荷試験(=全身性運動)では、1)の結果よりさらに劇的な尿中重炭酸イオン濃度と尿pHの変動が、運動後の休息期間にみられた。運動後に酸素消費量、最小呼吸量、呼気中炭酸ガス濃度、心拍数は5分以内に正常範囲に回復した。しかし、運動中に急激に増加した血中乳酸の正常レベルへの回復は運動休止後1時間かかった。一方、運動前と運動休止後150分とを比較すると、尿中重炭酸イオン濃度は2.6ミリモル濃度から10.4mMまでに増加し、尿pHは6.2から7.0へと上昇した。尿pHのアルカリ化は血液酸性化と相関すると考えられ、運動後の150分の休息中に血液の酸性化がおきていることを示している。本結果は尿中重炭酸イオン濃度とpHの測定が激しい運動後の生体への影響指標として有用であることをつよく示唆するものである。
|