研究課題/領域番号 |
15500460
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
水落 文夫 日本大学, 文理学部, 助教授 (30157482)
|
研究分担者 |
鈴木 典 日本大学, 松戸歯学部, 助教授 (10162968)
酒井 秀嗣 日本大学, 歯学部, 助教授 (20153851)
|
キーワード | スポーツ選手 / 心理的ストレス / 唾液 / コンディショニング / コルチゾール / クロモグラニンA |
研究概要 |
昨年度はスポーツ選手の一過性心理的ストレスを測定する指標として、唾液中のグラニン蛋白(クロモグラニンA : CgA)と糖質コルチコイド(コルチゾール:cortisol)に注目し、その妥当性を確認するに至った。本年度はこれらの心理的ストレス指標が長期的なスポーツ活動による心理的コンディションを評価できるか検討を試みた。 測定対象は大学スキー部(クロスカントリー部門)の部員16名であった。3週間(2004年8〜9月)の高地トレーニング合宿期間中に、身体的コンディション3項目(体調、食欲、疲労)、心理的コンディションとして2次元気分尺度(快と覚醒)の8項目で構成されたコンディション・チェックシートにより日々のコンディションを自己評価させた。また、起床時および午後のトレーニング前に唾液を採取した。高地トレーニング期間の前後に低地でのパフォーマンステストと最大酸素摂取量を測定した。測定結果から以下のような知見が得られた。 1.最終的に持久性機能のトレーニング効果が認められなかった選手の多くは、期間後半に疲労感を伴う快感情の低下が持続していた。このときには、cortisolやCgAの高値も確認され、視床下部-下垂体-副腎皮質系あるいは交感神経-副腎髄質系の亢進によるストレス反応を生じていることが推測された。これらのストレス反応が高地適応反応およびトレーニング効果発現の弊害因子になっている可能性が高かった。 2.コンディション不良パターンを気分尺度と唾液成分との関係からみると、CgA高値・ネガティブ覚醒の激しい変化パターン、cortisol高値・不快感情持続パターンなどの個人差があるものと思われた。 評価基準作成には至っていないが、2つの唾液成分はコンディションの弊害となる長期的な心理的ストレス反応を個別に評価し、トレーニング効果発現阻害などをある程度予測する機能を持つと示唆された。
|