1.男子体操競技の平行棒における「後方車輪からかかえこみ2回宙返り腕支持(ベーレ)」の実施時に関節で発揮されるトルクとパワーの動態を明らかにして、平行棒における「後方車輪」実施時と比較し、それらの運動技術を明らかにする実験を、大学体操選手5名を被験者として行った。その結果、ベーレ実施時には後方車輪に比べて大きな股関節屈曲トルクと肩関節伸展トルクの発揮が求められ、同時に股関節の屈曲角速度と肩関節の伸展角速度を大きくして、大きなパワーを発揮することが必要であることが示唆された。 2.「後方車輪から屈身2回宙返り腕支持(屈身ベーレ)」について、関節で発揮されるトルクとパワーを算出し、「後方車輪からかかえこみ2回宙返り腕支持(ベーレ)」のそれらと比較する研究を、競技会に出場し両技を実施した選手12名を被験者として行った。その結果、離手時には屈身ベーレにおいて、ベーレに比べて膝関節屈曲トルクが小さく、股関節屈曲トルクが大きく、さらに肩関節の伸展トルクが大きかった。関節で発揮されたパワーは、離手時において屈身ベーレがベーレに比べて膝関節で小さく、股関節と肩関節で大きかった。
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