助成初年度の本年度は測定調査の方法論を確立することを主目的に、被験者を特に脳性麻痺の身体障害児に限定し、主に以下の3項目についての検討を行った。 1.一定動作課題遂行時の当該動作の安定性・再現性を評価する指標を作成するために、脳性麻痺児が同一課題での身体表現を複数回行う際の動作をMotion Capture Systemを用いて撮影・解析した。その結果、身体各部位の3次元空間での経時的な位置変化をトレースすることによって、脳性麻痺児においても一定課題時の動作の再現性を評価することが可能であることが明らかとなりた。 2.一定の筋出力発揮に関する調節安定性を評価する指標を作成するために、脳性麻痺児において随意の筋出力が可能なジョイスティック型の測定装置を試作し、被験者に最大および最大下(最大発揮筋力の10%から90%まで、10%毎)の等尺性肘関節伸展・屈曲動作を課し、課題遂行時の上腕二頭筋・三頭筋の筋電図(EMG)と筋音図(MMG)データから特性を検討しようと試みた。周波数解析を施した結果、EMGデータでは全課題においてMean Power Frequencyがほぼ一定であったのに対し、MMGデータでは課題の負荷強度に対応してある特定の変化や、利き腕と非利き腕では異なる反応が観察され、有効な評価指標につながる可能性が考えられた。この点に関して、今後、事例を増やすとともに、より詳細な吟味を進める予定である。 3.自己の身体像と身体の動作可能性に関する自己認知度についての質問紙および課題動作の作成を進めるために、定期的に身体活動を実施している被験者を対象に聞き取り調査を行い、調査項目の洗い出しと評価に適切な課題動作の選定を進めているところである。予備調査が終わり次第、事例を増やしてfeasibilityの検討を行う。
|