研究概要 |
青年期における定期健康診断をベースにした生活習慣病一次予防のためのスクリーニング法や介入法までを視野においた総合的な集団・個別健康教育システム作りを目指し、種々の取り組みを展開し始めた。その中で、特に平成15年度から実施を始めた"必修授業を利用した健診事後措置"は、青年期ならでは実施可能な新しい集団的アプローチとして報告し、proceeding (Campus Health 41(1),p136,2004)に残した。 この取り組みは大学新入生を対象としたものだが、従前の自由参加の講演でも、選択科目で行っている講義でもなく、キャンパス教育推進委員会で協議の上、各学部学科別全員に50〜150名編成で、目的に照らして不都合のない必修授業の1コマ分を「新入生健康セミナー」に流用して充てたものである。内容も、従前の生活習慣病、結核・エイズ予防、メンタルヘルス、禁煙教育に加えて、健診事後措置(健診の意味、結果の読み方)を行った。血液生化学検査も含めた健診個人結果票の通知率は、これまで自主回収に任せていると3割に満たなかったが、この取り組みを通じて92.8%に改善した。この「新入生健康セミナー」は、今後も恒例行事として継続実施を確認されている。 自分たちの受けた健診を基にした本取り組みは、受けるだけの健診からの脱却として、ひいては日本の誇る健診システムと受け手の自己責任のバランスを問う初期集団教育として重要と考える。健診事後措置に係わるこの集団的アプローチの短期的効果については、平行して行っている個人的アプローチの評価と併せて平成16年度に報告予定である。 その他にも本科学研究費は、本課題を支える超音波的診断法による青年期の内臓脂肪蓄積と動脈硬化の実態調査継続のため、破損プローブの交換や高感度CRP測定などにも役立てられた。また、未だ報告段階にないが、肥満・やせの個別介入法の検討も徐々に進めている。
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