研究概要 |
今年度は,運動が糖尿病へ及ぼす影響について検討した国内外で発表された論文を,検索収集した.英文についてはMEDLINEを利用して,1985年以降現在までに発表された論文を検索した.Keywordsとして,exercise, physical activity, fitness, sport, diabetesを使用し,エビデンスとしての質が高いランダム化比較試験(RCT)に絞り込むためにPublication TypeとしてRCTを指定して検索した.その結果286件がヒットした.この中から,アウトカムとして血糖値もしくはHbAlc,あるいは糖尿病発症率が明確に記載されている論文に限定し,批判的吟味を行った結果,最終的に30件となった.これらの中で,糖尿病患者を対象とした血糖コントロールへの運動の効果を検討した論文では,明らかに有効とされたのは13件,有効性を示唆する論文は7件,効果が見いだせなかったのは4件であった.糖尿病の発症に関しては,耐糖能異常者を対象とした大規模介入試験では3件が有効と結論され,肥満群や親が糖尿病である高危険群への介入では,有効性が明確には見いだせなかった論文が3件であった. 日本語の論文については,日本糖尿病学会雑誌である「糖尿病」と日本肥満学会雑誌である「肥満研究」について,過去5年間に発表された論文に対しハンドサーチを行った.その結果,ランダム化比較試験はほとんどなく,多くは対象のない前後比較研究あるいは,横断的な研究であった. また個々の論文について統一したフォーマットで結果の要約を作成した.さらに購入したスキャナーを利用して,収集した論文をPDFファイル化し,今後のデータベース化の準備を行った. なお来年度は,対象を高血圧や肥満に拡大して同様の検討を行い,データベースの整備を進める予定である.
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