研究概要 |
【目的】 昨今、肥満小児の増加が懸念されているが、どのような健康科学的方策が効果的なのか十分な情報は得られていない。本研究は長期入院治療を行う中〜高度肥満小児を対象に約3ヶ月間の食事療法と運動療法を実施し、彼らの有気的作業能力、糖・脂質代謝、腹部脂肪分布等(メタボリックフィットネス)に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。 【方法】 本年度は肥満小児40名(男児28名、女児12名、年齢9.9歳、肥満度51,8%)を対象とし、1日あたり1360〜1960kcalの食事療法と、有酸素運動とレジスタンス運動を組み合わせた運動療法を1日30〜60分、週5〜7日行った。減量プログラム前後に運動負荷試験、早朝空腹時採血、経口糖負荷試験、臍高部CT撮影を実施し、メタボリックフィットネスの評価を行った。 【結果】 体重は54.2kgから45.6kgへ有意に低下し、除脂肪体重は33.8kgから35.3kgへと有意に上昇した。最大酸素摂取量は体重あたり(26.7→31.6ml/kg/min)のみならず、絶対値(1510.3→1576.9ml/min)においても有意に増大した。経口糖負荷試験よりインスリン抵抗性の指標としてインスリン面積を算出した結果、9664.2→5681.9μU/ml/minへと有意な低下を示した。臍高部CT画像から解析した内臓脂肪面積は52.6→31.5cm^2へと有意に減少した。 【結論】 中〜高度肥満小児に対する適切な食事療法、運動療法の実施は、正常な発育を阻害することなく、彼らのメタボリックフィットネス改善に貢献することが示唆された。
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