本来、防災教育はその災害時における実効性にとどまらず、ひろく精神保健、サイコエデュケーション、さらには人権教育、道徳教育につながるパースペクティヴを有している。しかし、防災教育と実際の防災計画との連携はこれまでのところ乏しいものであるし、その連携についての提言もほとんどなされていないのが実情である。そこで本研究では、防災計画と防災教育の統合をめざして、実効ある防災計画・防災マニュアルを同時に防災教育の教材としても活用可能なものとする方途をさぐった。 昨年度われわれは、都道府県および政令指定都市の教育委員会の防災計画・防災マニュアルを収集し、その分析につとめた。その結果、教育委員会の防災計画は、自治体首長部局が作成した地域防災計画に比べて、通読可能性・携行性にすぐれるとともに、精神保健ないし「こころのケア」への配慮もより多く為されていた。しかし、一部を除いて防災教育との連携統合はまだまだ十分ではないことがうかがわれた。 そこで今年度、われわれは、防災計画と直結した内容をもち、しかしただ単に防災計画の内容を覚えるだけでなく、児童・生徒たちが自分の安全を守るために自ら考え行動するための思考力とスキルを身につけるための教材を試作した。今回試作したのは、小学校3〜4年生向けに災害時の正しい避難の仕方を"イメージトレーニング"によって問題解決指向的に考えさせるための教材で、「イメトレで考えてみよう、避難のしかた」と題したカラー版8頁(表紙別)のものである。
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