申請者は、医療気功(アストカイロ気功)が癌患者の癌組織に与える影響を臨床的および分子病理学的に検証し、治療経過、治療効果、生命予後、癌末期の疼痛、合併症に与える効果およびQuality of Life(QOL)に与える影響の研究を行った。消化器癌(胃癌および大腸癌)を中心に気功治療前の癌組織生検と気功治療後に手術によって得られた癌組織を用いて、癌遺伝子の発現や癌の増殖に関与しているサイトカインおよびアポトーシス誘導効果について、気功治療の前後で比較しながら検索を行い、気功治療による癌の増殖抑制およびアポトーシスの誘導についてのメカニズムを検証するとともに、熱ショック蛋白の発現についても検証し、気功治療によって熱ショック蛋白の発現が誘導されることを報告した。この報告はアストカイロ気功の癌に対する治療効果を分子病理学的に検証した研究であり、治療効果のメカニズムの一つとして重要である。また、術後の治療経過や合併症の予防および癌患者のQOLの向上に対する効果の検討を試みて、良好な治療効果が得られた。さらに、高価な医療機器や合成薬物を使用せずに疾患を治療することができるアストカイロ気功を適用した癌ならびに循環障害、炎症、良性腫瘍および視力、握力に対する治療効果等の臨床的効果についてはこれまでに多くの知見が得られており、これらの研究成果を含めてこれまでの成果はアストカイロ気功が現代医学と併用することにより癌患者の治療経過および治療効果に有用であることを示唆している。
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