研究課題
中国医学の推拿療法には、他動推拿と自己推拿がある。他動推拿は、主に受者が有する疾病疾患の治療を目的として行う手技療法であるが、自己推拿は、自らの身体に対して自らが行う手技療法であり、保健を目的とした健康づくりの手段として位置づけられている。自己推拿の源流は、導引術、按術にあり、三調(調心、調身)技術に基づいた気功法の一つである。本研究では、自己推拿刺激が生体に対してどのような影響を及ぼすのかを検討した。被検者は、18歳〜20歳の男女大学生266名を対象とし実験の趣旨を説明し参加に同意を得た。6部位52種類の自己推拿手技から3つ以上の手技を自由に選択させ行わせた。内省は、自己推拿手技毎に5段階評価させ、同時に手技に対する感想も記述させた。処理は、部位別、推拿手技毎に集計した後、クラスター分析を行った。自己推拿手技における選択部位の割合は、全体でみると顔面部及び頭頸部が他の部位に比べて高かった。しかし、男性では、頭頸部より腰背部の方が高く、女性では、顔面部、頭頸部に次いで上肢部の割合が高く、選択部位についても性差が認められた。部位別クラスター分析による手技方法と内省の関係は、腰背部を除く他の手技部位について男女間で異なる知覚水準が認められた。自己推拿手技の内省による評価は、手技の実施部位や方法によって異なるが、性差にかかわらず個々人の疲労回復やリラクゼーションを促進するための一つの手段として有効な指標となり得ると考えられる。また、自己推拿は、予防医学的な保健や健康増進に有効な手段として利用することによって、代替補完医学(AM)の一つとしても位置づけることができると思われる。現在、52種類の自己推拿手技から5つ以上の手技を自由に選択させ、自己推拿手技試行でのPOMS (Profile of Mood States)テスト及び血中乳酸を測定し、手技中は、酸素摂取量、心拍数、呼吸数及び呼吸曲線の検査を実施している。
すべて 2004
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Eastern Medicine 20・1
ページ: 23-31
推拿医学 6・1
ページ: 3-12