研究課題
本年度は研究期間の最終年度であり、過去2年間に行ってきた実験結果を国内・国外で発表を行い、専門の方々の意見を含め報告書としてまとめた。具体的には、以下の検討をさらに加えた。(1)実験Iの実験要因間の相関関係に関する詳細な検討実験室で実施された実験Iの結果から得られた作業の能率、作業に対する集中度・気分変化、生理的にみたストレス変化についての相関関係を解析した。その結果として、ペットの介在効果は、(1)どのような作業をしているかによって効果が異なること、(2)データ入力作業では、比較的作業能力の低い3人の被験者(12名中)がペットの介在で作業能率が上昇した、(3)創造作業では作業能力の高い低いに関わらす、ペットの介在休憩があった場合に作業効率が1番よかった、(4)データ入力作業では、休憩中にペットが介在すると9名の被験者からペットやペット型ロボットの介在は脳の活性化につながることがわかった、(5)加算課題作業では、7名の被験者が作業能率と心拍変動、作業能率と脳活動の間に負の相関が作業能率と気分尺度「生き生き感」とで正の相関が認められた、(6)創造作業では、3名の被験者にペット介在効果が作業能率に見られたが、心拍変動、脳波、気分尺度との相関は認められなかった。(2)実験IIの解析と検討すでに実施された職場で実施された実験IIでは、9時から17時までの勤務時間帯の出社時、昼の休憩前、昼の休憩後、帰宅前の4回気分プロフィール検査を行い、事務職員11名に対して昼の休憩時にペットと触れあう時間を設置することで職場ストレスにどのような影響をもたらすかを気分変化から検討した。その結果として、ペットの有無によって気分尺度「活気」と「混乱」が変化することがわかった。すなわち、ペットと過ごす休憩は、午前中の仕事による生き生き感の低下や思考力の低下を出勤時以上の状況に戻す効果があることがわかった。(3)実験Iと実験IIの気分変化の比較とまとめ職場ストレス指標としての気分調査について環境をコントロールした場合と実際の職場の場合での結果を比較・検討すると共通にいえることはペットの介在は、人間側に何らかの効果があり、実際の職場では、その日の仕事内容にもよるが犬好きな社員は比較的長い時間ペットとの触れ合い時間をとり、気分尺度の「生き生き感」も高い値を示していたことがわかった。制約のある実験環境ではあったが、ペットの介在が職場ストレス解消に十分貢献できることがわかった。
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ヒトと動物の関係学会学生大学院生のための学術発表審査会要旨
日本健康科学学会誌「Health Sciences」 Vol.22,No.2(採用内定済み)
人間工学 第41巻特別号
ページ: 354-355
Proceedings of Human-Computer Interaction 2005 Vol.1
健康科学 Vol.21,No.4
ページ: 462