本研究は、青年期学生を対象として、骨密度、体脂肪率、体力および生活習慣に関する測定・調査を継続的に実施し、その経年変化やそれらの関係を検討することを目的とした。 本年度は、昨年度までの測定、調査を同様に実施し、縦断的な資料の収集を行うとともに、(1)規則によって生活時間が決められている寮で生活する高専生157名、(2)定期的な運動が骨密度や体脂肪率に及ぼす影響を検討するため、中国地区の5つの高等専門学校と2つの高等学校の陸上競技部員、合計240名を対象として測定、調査を実施した。 測定、調査データの分析を行い、これまでに得られた結果は以下の通りである。 1.骨評価値に関して、青年期男子学生では学年進行に伴い増加する傾向を示した。体力項目や生活習慣との関係では、下肢の筋力発揮を伴う項目(立ち幅跳び、反復横跳び)や食生活の規則性、乳製品の摂取と有意な関係が認められた。 2.体脂肪率に関して、青年期男子学生では高学年(4年生以上)から増加する傾向が窺われた。運動実施頻度や睡眠時間、食事の規則性に有意な関係が認められたことから、これらの生活要因が体脂肪率増加に影響を及ぼしていると推察された。なお、青年期男子学生においては極度の痩身傾向を認めたものは全体の1%弱と非常に僅かであった。 3.寮生を対象とした測定、調査結果から、骨評価値の変化率は低学年ほど高く、学年進行に伴い変化率は低下した。測定結果に基づく指導から生活習慣の改善が見られた者では、骨評価値の変化率が高値を示した。 4.青年期男子陸上競技選手の測定、調査結果から、体脂肪率は長距離選手が他の種目選手に比べて低く、投擲選手では体幹部と上肢の体脂肪率が高値であった。骨評価値は同年代の標準値と比べて高かった。現在、縦断的資料の収集を進めており、経年的変化、青年期前の生活習慣やトレーニング内容による骨や体脂肪率の差異について検討を試みている。
|