平成15年度は、街なか居住に関する先進例として注目されている東北の地方都市における事例を調査対象として、集合住宅の供給者サイド(行政、民間業者、地主等)に対するヒアリング調査を実施している。対象者は、以下の通りである。 ○住宅行政担当者・・・秋田市、仙台市、弘前市、飯田市、国土交通省東北地方整備局 ○民間住宅業者・・・四国に本社を持つ大手マンションディベロッパー、東京の不動産販売会社 ○地主等・・・秋田仲小路モール、いわき市シティハイツ、飯田まちづくりカンパニー、仙台市グッドライフ長町、弘前市大町住宅 一方で、マンション需要者側に対する調査として、青森市駅前に誕生したマンション居住者に対するヒアリング調査、および東北初の借り上げ公営住宅として弘前に存在する大町住宅の居住者に対するアンケート調査を、実施している。 先進事例に共通する特色として、街なかに居住空間を確保するだけではなく、建物内部における新たな生活スタイルの確立のための空間の複合化があげられる。それは、福祉、医療、あるいは教育文化部門との複合として、街なかに新しい生活拠点を生み出すことに成功している。 また、居住者アンケート調査から得られた知見として、街なか居住を選択した居住者のライフスタイルは、以前に増して、中心市街地依存型に移行していることが明らかとなっている。しかし、利便性が様々なサービスの享受のみを利点として住環境そのものを軽視した建築物が登場しつつあり、公的な財政支援という形で質の高い居住空間を生み出した大町住宅の事例では、居住者の満足度がかなり高いものの、その他に現実に登場しつつある多くの都市の街なかマンションについては、やや懸念が残ることが、業者ヒアリングからも指摘されている。
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