平成16年度は、昨年度の疫学調査の結果をふまえて、睡眠・覚醒リズムが乱れ、夜更かしや睡眠不足になった場合の、心理的、生理的機能への影響を測定するための実験1と、睡眠や、覚醒時の情緒不安定感等を改善する試みとしての香気成分セドロール使用の効果を検討する実験2を行った。 実験1は、生活時間の拘束性が低く、不規則な生活をしがちな大学生41名および専門学校生75名を被験者に、「生活習慣調査」「自覚症状調べ」と、視覚刺激反応が運動神経へと伝わる速さから反射的反応性を調べる落下反応棒による「落下反応時間」を記録、測定した。その結果、午前10時、午後1時、午後4時の3回測定したデータを睡眠良好群(24前就寝、7時前起床、6時問以上睡眠)と睡眠問題群(24時以降就寝、7時以降起床、6時間以下睡眠)の2群で比較したところ、睡眠問題群でどの測定時刻においても自覚症状訴え項目数が多い傾向が認められた。また「落下反応時間」については、睡眠問題群の方が午後4時の値が早い結果となり、夕方から交感神経優位となり、夜間の入眠がまた遅くなりがちになるという悪循環の傾向が認められた。 実験2では、同様の「生活習慣調査」「自覚症状調べ」と「落下反応時間」について、1日目は「セドロール無し」、2日目は「セドロール有り」の条件で記録、測定した。この結果を実験1と同様に睡眠良好群と睡眠問題群で比較したところ、有意な差ではないが、セドロールを噴霧した日においてのみ、睡眠問題群の「自覚症状訴え項目数」が減少した。またセドロール噴霧により、睡眠良好群、睡眠問題群のどちらにおいても「落下反応時間」の5回測定値の値が安定し、標準偏差が減少する傾向も認められた。 セドロール噴霧による作業量と作業成績の安定については、小学5年生6人を被験者とした「図形認識」と「割り算」作業のとくに「割り算」において作業量が増え、誤答数が減る傾向も認められた。
|