家庭科における栄養教育に関するカリキュラムを構築するにあたり、これまでの栄養教育がどのように行われてきたかについて、各種文献資料、家庭科ならびに総合的な学習の時間における実践事例を収集し、その問題点・課題、到達点などを整理した。 まず、文献資料を調査・検討した結果、栄養教育については、早期の学習の必要性、健康と結びつけた学習及び食べ物と栄養素を結びつけた学習の重要性が指摘されていた。 次に、これまでに行われてきた小、中、高等学校家庭科における栄養教育に関する実践事例を収集し検討した。その結果、栄養に関する学習は、食物分野の中でも抽象的で教えにくいといわれてきたが、それを克服するための様々な試み、例えば、カードや模型を使った学習、ゲームを取り入れた学習などが行われてきたことが確認できた。 一方、小学校学習指導要領における学習目標や学習内容の変遷を検討した結果、栄養に関する学習に関しては、目標や学習内容に大きな変化はなかったが、今回の改訂に限っていえば、むしろ栄養学習は後退したといえることを明らかにした。 また、総合的な学習の時間で行われている実践事例を調査した結果、食に関わる内容が多く取り入れられていること、しかしその内容は、食に親しむことや食を通して地域や世界をみることに重点が置かれ、栄養に関する基礎・基本については学習されていないことを明らかにした。 以上の文献研究の結果から、生涯を通して健康であるための家庭科における栄養教育の課題は、実際の生活に活かすことのできる実践的な力の育成と、生活と健康の関わりを意識した学習内容や学習方法の構築であることを明らかにした。
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