これまでに学校教育における早期の栄養教育のあり方が検討され、その必要性が提言されている。小学校における栄養教育のカリキュラムを構想し、教材を開発する上で、児童が日常生活や家庭科学習を通して、どの程度栄養や食品に関する知識を獲得しているかを明らかにすることは重要である。そこで、家庭科を学習していない児童とすでに家庭科学習を終了している児童を対象に、食品に対する認識について実態を把握することを目的として調査を行った。 調査の対象は、小学校4年生、5年生、6年生の児童である。調査方法は、児童一人一人に1枚の用紙と24種類の食品のカードを与え、用紙の上で食品カードを自分の観点で自由に分類させた。それを用紙に貼り付け、分類した観点や根拠あるいはグループを代表する名前を記入させた。その結果、栄養素を意識した分類は、4年生では0であったのに対し、5年生・6年生では10%前後であった。食品群を意識した分類は、学年が上がるにつれて多くなった。その他、好き・嫌い、色、動物性・植物性、海のもの・山のもの等の観点により食品が分類されていた。家庭科学習前では食品を多様な観点から分類しているのに対し、家庭科学習後は食品に含まれている栄養素や食品群という観点から食品を分類する者が多かった。家庭科学習前であっても、系統性や科学性には乏しいものの児童は自分なりの見方や考え方に基づいて食品を分類しており、日常生活経験を通して自分なりの食品認識をもっていることがわかった。
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