生涯にわたって健康的な生活を送るためには、自分の健康状態や生活環境を考慮しながら、豊富な食物の中から栄養のバランスを考えて適切に食物を選択できることが重要である。そのためには日常生活において、食品に対してそれらの特性を的確に捉えた適切なイメージが形成されていることが必要である。そこで本研究では、中学生の加工食品に対するイメージを調査し、学校において栄養や食品について学んだことがどのようにイメージとして保持されているかを探り、家庭科における食生活に関する学習内容を考えるための資料とすることを目的とした。 調査は、技術・家庭科における食生活に関する学習が未習である中学校1年生と、学習済みである中学校3年生を対象に、質問紙法により調査を行った。調査対象食品については、日常使用頻度が高く、中学生にとって身近な10の加工食品を対象とした。加工食品イメージについては、嗜好、味覚、欲求、健康、砂糖・塩・油の含有量や添加物などの食品成分、実態の側面から9イメージ語を選定した。この10加工食品の9イメージをSD法により5段階で測定した。 その結果、成分に関わるイメージにおいては、学年間で有意差がみられなかったが、「添加物が心配-添加物は心配ない」イメージにおいては、学年間で有意差がみられ、3年生の方が添加物を心配する傾向がみられた。また、成分に関わるイメージは、実際に含まれている食品の成分を反映したものではなかった。これらより、食品の特性が反映された適切なイメージが形成されるためには、家庭科における学習が重要であることが示唆された。
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