中学校家庭科の教育内容を検討するために、中学校1年生及び2年生を対象に、食物領域の内容について知識や技能の習得状況を調査した。結果は次の通りである。(1)生徒の90%以上が骨や歯を作る栄養素に関する知識をもっていた。(2)1日に摂取する食品量のめやすについては、約70%の生徒が正しく解答していなかった。(3)栄養素の働きや栄養素を多く含む食品に関する項目については、学年が進むにつれて正答率は高くなり、家庭科学習の成果が認められた。各学年間の知識や技能の習得状況の比較から、中学校家庭科の教育内容の多くは、主として家庭科の学習において習得されていることが示唆された。学年間で知識・理解力及び技能力に差がみられない内容や正答率が低かった項目については、用語の概念規定、教科書における記述や表現、学習段階、指導方法などについて、検討される必要があると思われる。 さらに、加工食品について学んだことが、どのようにイメージとして保持されているかを探るため、中学生を対象に加工食品のイメージ調査を行った。結果は次の通りである。(1)砂糖、塩、油などの成分にかかわるイメージにおいては、学年間で有意差がみられなかった。(2)「添加物が心配-添加物は心配ない」イメージにおいては、学年間で有意差がみられ、3年生の方が添加物を心配する傾向がみられた。(3)塩や油の成分量に関わるイメージは、実際に含まれている食品の成分量を反映したものではなかった。(4)食品の特性が反映された適切なイメージが形成されるためには、家庭科における学習が重要であることが示唆された。
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