本研究は、もっとも育児負担の大きいライフステージである就学前児を持つ女性に着目し、女性の多様なライフスタイルを支えるために必要な育児支援環境を都市の住宅・地域において整備する方策を検討することを目的とする。昨年度は子育て支援センター、子育てサロンを中心とした育児ネットワークに着目して調査を実施し、ライフスタイルとニーズの関係を分析した。本年度は、(1)乳幼児のいる親が気軽に集い・相談や交流ができる場を小学校区に設けている子育てサロンおよび(2)スウェーデンの先進事例に着目して調査を実施した。 1.子育てサロンの調査結果 調査は奈良市内の子育てサロン(4地区)、全国的にも珍しい障害児サロン(2地区)において、運営側に対する聞き取りと参加者に対する(障害児サロンを除く)アンケートを行った。その結果、(1)ほぼ月1回、民生委員やボランティア等が運営するが、運営側の負担が大きく、開催頻度の増加や内容の充実を望む母親達の声に応えられない。(2)障害児サロンでは専門家が参加し行政との連携も密であるが、他のサロンでは行政の資金援助、講座や相談を行える専門家の派遣や人的援助が望まれている。(3)活動は公民館や幼稚園で開催され、予約が取りにくい地区では常設施設が要望されている。(4)参加者の半数は徒歩10分以内で、同じ小学校区でも会場から離れている人は参加しにくい。 2.スウェーデンのオープンプレスクールの調査結果 スウェーデンでは、2歳以上になるとプレスクールに行く場合が多いため、0〜1歳児とその親を対象にオープンプレスクールが開設されている。その役割は同じ状況にある他の親との出会いを通してインフォメーションや精神的支えを得たり、経験豊かなスタッフからアドバイスを受けて家族問題が起こる予防をすることである。専属スタッフのいる常設の施設が徒歩圏に整備きれているところが特徴であり、よく利用されている。
|