研究概要 |
本研究は、もっとも育児負担の大きいライフステージである就学前児を持つ女性に着目し、女性の多様なライフスタイルを支えるために必要な育児支援環境を都市の住宅・地域において整備する方策を検討することを目的とする。 1.低年齢の子どもを持つ母親は、日常の生活圏域が徒歩圏であり、外出回数は少なく、母親同士が知り合う機会が少ない。安心して子どもを預けられる人やサービス、母親同士が交流できる場、気軽に相談できる場、心身がくつろげる場などが身近な地域に求められている。 2.地域子育て支援センターは、母親同士が知り合う機会をつくること、問題のある家庭に対応することが主な目的となっている。複雑な家庭問題に対処するために、専任の地域保育士が関係諸機関と柔軟に連携していくことが必要である。参加者の評価は高いが、徒歩圏に設置してほしいという要望が強い。 3.民生委員が中心となって運営している子育てサロンを調査した結果、参加者の評価は比較的高いが、月1回の開催では頻度が少ないこと、会場の確保や保育士・保健師などの専門家の参加の困難、民生委員の負担が大きいこと等多くの問題がある。 4.スウェーデンでは0〜1歳児とその親を対象にオープンプレスクールが開設されている。その役割は他の親との出会いを通して情報や精神的支えを得たり、経験豊かなスタッフから助言を受けて家族問題を予防することである。専属スタッフのいる常設の施設が徒歩圏に整備されているところが特徴であり、両親によく利用され、評価も高い。 5,スウェーデンにおいては、2歳以上になるとプレスクールを利用するのが一般的であり、子どもの教育のための社会施設として位置づけられている。その特徴は、平均人数50人前後と小規模で、自宅のごく近くに配置されていることである。人口800人〜1,400人に1ヶ所プレスクールがあり、新築だけでなく、住宅などを改造して利用しているものも多い。
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