本研究は障害児と健常児が共に学ぶ家庭科授業のためには、教師として具体的にどのような授業実践能力が要求されているのかを探り、さらにその授業実践能力を教員養成の段階、現職教員の研修(再教育)の段階で、それぞれどのように形成すべきかの方策を明らかにすることを目的とする。 そこで本年度に次のことを実施した。 1.前年度に実施した全国の小・中学校における障害児と健常児が共に学ぶ家庭科授業を実践している(いた)家庭科担当教師を対象とした調査を分析・検討し、日本家庭科教育学会において発表した。さらに、その結果および特別支援教育に関する資料や文献をふまえて、家庭科担当者への協力・支援体制のあり方を検討し、「特別支援教育における小学校家庭科授業の検討-支援体制づくりへの要請-」という題目で投稿した。 2.前年度に実施したインタビュー調査(1.の調査対象者の中から本研究に参考となる実践を行っている教師を選出)結果を分析・検討し、特別支援教育に向けて先進的取り組みを実践している学校がみられるが、その取り組みの中には二次的な弊害を内在している場合もみられた。 3.障害児と健常児が共に学ぶ小学校家庭科授業を観察し、障害児と健常児のかかわり、授業者の障害児へのかかわり、障害児の授業への参加状況を分析した。 4.障害児と健常児が共に学ぶ授業を実践する教師の授業実践能力に関するアメリカ合衆国の論文・資料を収集し、分析を行っている。
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