本研究は障害児と健常児が共に学ぶ家庭科授業のためには、教師として具体的にどのような授業実践能力が要求されているのかを探り、さらにその授業実践能力をどのように形成すべきかの方策を明らかにすることを目的とした。 1.平成15年度に、全国の小・中学校における障害児と健常児が共に学ぶ家庭科授業を実践している(いた)家庭科担当教師を対象とした調査と小・中学校の家庭科担当者を対象に実施したインタビュー調査を実施した。その結果、「共に学ぶ家庭科授業」における困難状況を問うと、ほとんどの回答に障害を持つ子どもの特性を原因とする困難性が挙げられていた。さらに、「共に学ぶ家庭科授業」への支援要望を問うと、教育行政機関への要望として、「複数教員での指導体制の確立」「研究会・研修会の設定」「障害児を理解するための情報提供」「障害児への指導方法の紹介」などが多く挙げられていた。 2.家庭科担当教員への支援体制に関する構造図を提案し、「共に学ぶ家庭科授業」推進のための課題を提起した。 3.家庭科担当教師に必要な授業実践能力を検討し、教師のための支援ガイドブックを作成した。
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