三次元データによる身体立体形状の数量的類型化を進めるために、本年度は計測実施のための準備期間と位置づけ、下記のことを実施した。 1.三次元計測器の設置:ミノルタ社製の非接触三次元デジタイザVIVID910を2台、三次元計測用機器として導入した。1台は科学研究費補助金で、もう1台は大学の予算で購入した。本器はレーザービームによる光切断方式を採用し、スリット状のレーザ光で入力対象をスキャンして、その反射光をCCDカメラで受光する仕組みになっている。三角測距の原理で被写体との距離情報を得て三次元データ化する装置である。得られた三次元データはポリゴン編集ソフトを用いて比較的容易に張り合わせることができる。また本器は操作性がよく、移動自由で、上方から角度をつけての撮影も可能である。従来の三次元計測器では詳細に計測出来なかった上方から角度をつけた肩部のスキャン撮影が可能であることも本器を導入した理由の一つである。また人体計測では人体の動揺による誤差の発生が避けられない。それを防ぐためには多数方向から同時に撮影することが望ましい。そこで1回の撮影で人体の半周計測、又は全周計測の可能性を考えて三次元デジタイザ2台を設置した。 2.デジタイズ条件の検討:(1)撮影範囲の検討:被写体からの2台のカメラの位置及び位置関係を検討し撮影範囲を確認した。(2)体表状に付けるしるしの検討:衣服設計上、必要な計測点を特定するためにつけるマークの色、大きさ等の検討をし、赤8mmの円形シールを採用することとした。(3)回転計測台の検討:本学所蔵の回転式計測台が利用できることを確認した。(4)基準データの作成:VIVID910はカメラの位置や向きを変えると原点が変わってくる。そこで統一した原点での計測が出来るように基準データの作成を試みた。
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