研究課題/領域番号 |
15500525
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研究機関 | 成安造形大学 |
研究代表者 |
美馬 朋子 成安造形大学, 造形学部・デザイン科, 教授 (20209852)
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研究分担者 |
佐藤 昌子 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 教授 (80047232)
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キーワード | 紫外線遮蔽率 / 透過率 / 耐光堅ろう度 / キセノンアーク灯 / ブルースケール / UPF(紫外線防護係数) / 直線染料・綿染色布 / 分散染料・ポリエステル染色布 |
研究概要 |
高い紫外部吸収特性を有する染料で染色された染色布は紫外線遮蔽性能にすぐれている一方、染料が紫外線のエネルギーに対する耐光性がなければ分解されて退色する。 本研究では、キセノンアーク灯式耐候試験機を用いて染色布の退色による紫外線遮蔽性能への影響について検討するとともに、キセノンアーク灯式耐候試験照射(10時間:1800 k/m^2、20時間:3600 k/m^2)と同程度の積算エネルギーになるように、紫外線強度計で測定しながら太陽光に照射した場合の染色布の退色試験を行い、実用的視点から染色布の退色が紫外線遮蔽性能に及ぼす影響を検討した。 直接染料/綿染色布、分散染料/ポリエステル染色布を用い、染色布の下層にブルースケール(人体皮膚を想定)を添付し、キセノンアーク灯による光曝露時の透過光がブルースケールの退色に及ぼす影響を検討した。すなわち、染色による透過率の減少(遮蔽)が皮膚に及ぼす影響を、間接的に推論しようするもので、ブルースケールをどの程度退色させるかを測定してその目安とした。 その結果、染料溶液の光曝露後の吸光度は著しく減少するが、遮蔽率90%以上を有する濃色染色布では、退色により可視部視感反射率がやや高くなっても、紫外線遮蔽性能にほとんど影響を受けないことが明らかになった。また、淡色の染色布では、染料により異なるものの退色によって紫外線遮蔽性能に影響されることも明らかになった。一方、濃色染色布では光退色による遮蔽率の変化に比べると、UPF(紫外線防護係数)での変化率の方が大きい。それは、紫外線遮蔽率90%以上においてUPFが急激に上昇するためであり、90%前後の遮蔽率の変化と耐光性の関係が顕著に現れる。光曝露時の染色布の遮光効果と下層の肌への影響を検討するため、3級ブルースケールの変退色に及ぼす影響を検討した結果、遮光性は白布より染色布が、分散染料/ポリエステル染色布より直接染料/綿染色布のほうが高いことが明らかになった。
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