研究概要 |
布は経糸と緯糸から構成されているため、糸と糸の間隙があり、その間隙から紫外線が刺激するため、従来から繊維基質そのものの紫外線遮蔽効果は検討されていない。そこで、染色布の紫外線遮蔽性能は繊維の影響か、あるいは染料の影響かを明らかにするため、布と同じ組成をもつセルロースフィルム、およびポリエステルフィルムを用いて、繊維基質の種類の違いが紫外線遮蔽性能に及ぼす影響について検討した。 1.未染色フィルムによる紫外線透過率の検討 用いたフィルム1枚の厚さはセルロースが0.02mm、ポリエステルは0.025mmと厚さが異なるため、フィルムを重ね、厚さを調整して透過率を測定し、紫外線遮蔽率を計算した。その結果、同じ厚さで両フィルムを比較すると、UVA、UVB域ともポリエステルの方が透過率は低く、紫外線遮蔽性能に優れていた。特にUVB域では1枚の0.025mmにおいても約90%の紫外線遮蔽率を有した。厚さを0.1mm,0.2mm,0.3mm,0.4mmと変化させた結果、両フィルムとも厚さの増加とともに紫外線遮蔽率は増加し、セルロースは0.3mm(15枚重ね)以上でUVBでの紫外線遮蔽率は90%になり有効であることが確かめられた。 2.染色フィルムによる紫外線透過率の検討 染色過程によって付加された繊維基質上の染料自体が示す紫外線遮蔽効果を、より明確にするための実験を行った。染料は、色相のよく似た直接染料C.I.Direct Red23でセルロースフィルムを、分散染料C.I.Disperse Red1でポリエステルフィルムを染色した。セルロースではUVA、UVB両域で紫外線遮蔽効果が非常に向上することが明らかになった。特にUVB域での遮蔽効果の向上が著しいことから、綿素材には染色によって高い紫外線遮蔽効果が期待されることを確認した。一方ポリエステルでは、基質自身がUVB波長域に高い紫外線遮蔽性能を有するため、UVA域での紫外線遮蔽率の向上が問題となるが、同様に染色によってその性能を補完しうることが明らかになった。
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