1.健康を主たるテーマとする情報娯楽番組を複数のテレビ(TV)局が放映している。「食」を話題とすることが非常に多く、これらの食情報が人びとの食生活に少なからぬ影響を与えていると考えられている。健康情報娯楽TV番組の視聴と食品の利用行動等を調査したところ、「体に良い」と見聞きした食品を、効果を期待して購入した経験を持つ人が7割いることが確認された。また、視聴するTV番組によって食情報の受け止め方に差があることが認められた。特に、月曜日から金曜目までの毎日、正午から110分間放映される民間TV局の某番組と、毎週1回午後8時から45分間放映されるNHKの某番組をともに見ているとした者は食品の健康効果に関する興味が著しく大であり、鶏卵やマヨネーズを「体によい」と受け止める者の割合が高かった。 2.学校教育において食生活教育を担うのは主として家庭科教諭であるが、健康教育を担う立場からは養護教諭もまた関わりをもつ。養護教諭に対し、マスメディアや産業界から発せられる食情報の問題点や留意点について詳細な解説を行った後、マスメディアからの食情報が食生活教育に及ぼす影響について自由記述による回答を求めた。マスメディアが大きな影響力を持ち、児童、生徒、保護者ともども食品摂取がそれにより大きく影響されており、学校からの情報よりもマスメディア情報を受け入れやすいことが事例を交えて記述された。さらに養護教諭自身もまた、マスメディアの食情報を無批判に生徒指導等に利用していたことに対する反省が述べられていた。
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