研究概要 |
圧力移動凍結した卵黄のレオロジー挙動の検討 目的 卵白は比較的冷凍耐性が良好であるが、卵黄を冷凍保存するとリポタンパク質が凍結変性しゲル化する。水中油滴型エマルションである卵黄を用いて、高圧力下で冷凍したときの温度とレオロジー挙動の変化を調べ、冷凍卵黄の品質が向上するか否か検討した。 方法 0、5、10、20%蔗糖を添加した卵黄(8g)をPPチューブに注入しWシリコンキャップで密閉したものを、食品高圧処理装置(Dr.Chef、神戸製鋼所製)を用い-20℃、0.1〜686MPaで60分冷凍後圧力解除し、20℃で自然解凍した。また、100MPa、-15℃、150MPa、-10℃の不凍液中で60分加圧し、圧力移動凍結した。これらのレオロジー特性(定常流粘性、チクソトロピー性、動的粘弾性)を動的粘弾性測定装置(Reosol-G3000、UBM製)で測定した。ゲル化したものは、クリープメータ(山電製)で破断強度解析した。これらを未処理、20℃で高圧処理、-20、-30、-80℃冷凍庫中で冷凍したものと比較した。 結果 -20℃、0.1〜686MPaで高圧処理を行った場合、圧力が高くなるに従い粘度の増加、ゲル化が見られた。とくに、200MPa以上の圧力で粘度の増加が顕著になった。また、チクソトロピー性が低下し、弾性要素が強くなった。これらの変化は、処理圧力が高くなるに従い顕著になった。処理圧力が高くなるに従って、凍結時間は短くなったが、卵黄のタンパク質は変性した。0.1MPa,-20℃、100MPa,-20℃、100MPa,-10℃、150MPa,-15℃で圧力移動凍結した卵黄や冷凍庫中で凍結した卵黄の方が、200MPa以上で冷凍したものより流動性が保たれていた。また、蔗糖添加により卵黄の流動性が増し、冷凍および高圧力によるレオロジー変化が抑えられた。
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