研究概要 |
1)卵白(Allergon社)とその主要抗原と考えられているオボムコイド(sigma社,以下OM),100℃,10分間加熱OM,卵白アルブミン(Sigma社,以下OA),小麦(Allergon社)で家兎を免疫して得られたそれぞれの抗血清のIgG分画を抗体として用いて,sandwich ELISA法による食品中の抗原定量のためのシステムを作成中であり,卵白抗原に関しては定量系が確立した。今後市販のキットと比較検討予定である。これらの抗体および市販の抗β-Lactoglobulin抗体を用いたWestern blottingによる抗原の検出系も確立した。 2)モリナガ卵測定キット(森永生科学研究所)により定量できる卵白中OA, OM量の,加熱調理による変化を検討した。OA, OMともに160℃-200℃まで加熱温度を上げていくと定量できる抗原量は減少し,160℃でも30分間加熱すると,200℃,10分間加熱後の卵白中の抗原量よりも減少した。いずれの条件でも,卵白中に多く含まれるはずのOAの定量値の方が,OMの定量値の5分の1から40分の1であった。この原因として,加熱によりOAの抗原性がより大きく低下した可能性と凝固しやすいOAの抽出効率が悪かった可能性が考えられる。患者血清中の特異IgE抗体との反応性の検討および抽出液の変更により検討を続ける予定である。牛乳蛋白に関しては,β-Lactoglobulinは,加熱により消化性は高まるが,モリナガ牛乳測定キットで測定する限り,検出できる抗原量は,むしろ逆に増加することが明らかになった。 3)アレルゲン表示されていない食品により即時型反応をおこした症例が摂取した食品中に原因となりうる抗原を検出でき,アレルゲン測定キットの臨床応用の可能性が確認できた。 4)特定原材料の表示に関するアンケートについてはパイロットスタディを実施中である。
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